Leeの特別支援教育

支援教育Q&A

ここでは掲示板に寄せられた特別支援教育に関する質問と、それにたいし私が書いた答をのせます。なにかお気づきがあればメールでお伝えください。
年月 Q & A
2006/05/20

「宿題をたくさんだしてほしい」
私の受け持ちの保護者がよく発する言葉です。
宿題をたくさん出して勉強させ、学校でもきちんと指導すれば、普通学級の一般的な児童の学力までにはなると思い込んでいます。
過大な期待をする保護者とはいるものなのでしょうか。



この要求はあんがい多いのです。
「知的障害児は勉強より生活の力をつけることが大切」という主張もありますが、小、中学校、また高等部でも、その子なりの学習の力をつけることは大切なことです。
もっとも過大な要求はどんな子どもにとっても負担ですが・・・。

保護者にどんな宿題が欲しいのかを聞いて下さい。
私はたとえば「漢字の力をつけたい」という要望であれば、きょうざいかんの漢字のプリントを渡します。
その子が簡単にできるものから・・。
漢字を書くプリントとテストプリントが2種あります。

最近はポケモンのキャラを書くプリントを5種作りました。
子どもは喜んでやってきます。
そういうプリントを作っていきたくさん増し刷りしておきましょう。
きょうざいかんのプリントもたくさん増し刷りして使って下さい。

また、学習と同時にお手伝いなど生活の力を養っていくことの大切さも話し、お手伝いカードを渡したり、やったらほめたり・・・。

保護者も生活の力と学習の力を二つ伸ばせたらきっと喜んで下さると思います。

教材作りと言っても時間ばかりかけてもくたびれます。
あるフォームを作っておき、鉛筆でさっと書くだけとか、いろいろ知恵は出てくるかと思います。
要領よく、パソコンを活用しながらやってくださいね。

休日は楽しみをたくさん持ちながら、教材もちょっとこさえる、それであなたの財産はどんどんふえていくのです♪

2006年4月
初めまして。
今年から小学校の障害児学級を担任する教員です。
先日、子供の保護者と面談しました。その中で「作業(生活単元)はほとほどにして、学習面を強化してほしい」と言われました。その子供はアスペルガーなので、生活面はそれほど苦にならないほどです。保護者の言われることはわかりますが、少しは作業学習も取り入れないと、とも思っています。
昨今、特殊学級においても、保護者の要望が最優先でカリキュラムを作らなくてはならなくなってきました。この保護者の要望どおり、生活単元は少しでもかまわないのでしょうか。



昨今は「子どもや保護者のニーズ」ということが言われるようになりました。これはとても大切なことだと思います。
しかし、教育には,ただ保護者の希望通りにするだけでなく、「その子の将来」を見据えて、カリキュラムを作っていくことが必要ですね。
「この子に豊かな将来を」ということは、保護者も教師も同じはず。
そこでどういうカリキュラムにするか、ということが大切になります。

今までの障害児教育にはいろんな流れがありました。作業学習が大事にされた時期、生活単元学習が重視された時期、そして今までは「教科」があまり大事にされなかった県もあるようです。
聞くところによると、小学校でも作業学習を多く取り入れ、保護者の不満が強いところもあるようです。

保護者が「教科も大切に」と思われるのも、「時代の流れ」や「保護者のニーズ」があるのでしょう。

私はそれぞれの教科、領域にいいところがあると思っています。
「遊び学習」「生活単元学習」「作業学習」は、小学部、中学部、高等部と発達段階で子どもの力を大きく育てる役割を果たしてくれます。
そして「教科」はその基盤となる力をつけるものだと思います。

さて、愛・地球博さんのクラスの子どもさんですが、保護者と「子どもさんをどのように育てたいのか、将来をどうかんがえるのか」を話し合われたと思います。
その中で教科をして欲しいという要望はわかりました。
しかし、生単で、行事単元やクラスを上手く楽しく、課題を解決していく力を育てることもとても大切ですよね。
「この子が自分から役割をもって学校生活をやっていって欲しい、そういう力をはぐくみたい」ということも言っていいと思います。
実際、たとえば運動会で何かの役割をになった、「〜をしよう」という単元で自分から役割を果たせるようになった、というような事例は多いですよね。
生きていく上で「自分から何かをする」「自信を付ける」ということはとっても大切なものです。
そのために生活単元学習をどの程度取り入れるかを青写真を示しながら話し合ってもいいかもしれません。

また、地域ではカリキュラムのたて方にある傾向があるかもしれません。地域の先生達と相談、連絡しながらやるのもいいかもしれません。

でも、まずは保護者と対立するのでなく、話し合いや実践を通して、一致点を見つけていくのがいいとおもいます。
年度当初はいろいろと大変でしょうが、頑張って下さいね。
教科の学習や宿題として、ここの「きょうざいかん」のプリントなどが役立つなら、どんどん使って下さいね。
2004年1月
小学1年生のダウン症児を特殊学級で指導している者です。
質問したいことがあるのでよろしくお願いします。
ひらがなの読み書きを練習しているのですが、
読めるひらがなは半分、書けるひらがなは10文字あるかないかです。たとえば「り」は読めますが、「け」も「り」と読んでしまいます。「は」は読めますが「ほ」も「は」と読んでしまうのです。明らかに、図形の視覚処理ができていません。
算数に関しても、数の概念がなく、0から9までの数字を読んだり書いたりすることは何とかできますが、数の大小の認識はありません。歌のようにフレーズで「123456・・」と言っているだけなので、「1236」とか間違って数えたりすることも多いです。
もうすぐ2年生になりますが、小学生のうちに、ひらがな50字マスターと数の概念の理解ができるようになるものでしょうか。個人差があるから何ともいえないといわれればそれまでですが、いろいろなケースとともに教えていただければ幸いです。




おたずねにお答えしようとしましたが、実は私では経験不足で答えられません。
そこでわたしのつれあいに聞きました。

おっしゃるようにこのお子さんは図形の視覚処理が十分にできていないようです。
そこで文字の弁別を練習する必要があります。
特に似た字の弁別が練習するといいでしょう。
「しとへ」「あとお」や「わ、れ、め」など・・・。
これらができるとかなり弁別する力がつきます。

またそれ以前に形を弁別する力を養うことが大切です。
つまり棒で三角や四角を作ったりするのです。
最初は型はめから(このお子さんはすでにできるでしょう)、次に見本を見て、最後に何も見ないで・・・。
このようにして形を弁別する力をつけていくのです。

数は大小の認識から始めます。
まず大きさ、長さ、次にタイルを使って1こ、2こ、とならべたり・・・。
こういう集合数の学習も必要です。

今小学1年でおっしゃるようにできるのであれば、ひらがなや数をマスターする力はおもちでしょう。
少しずつ上記の学習を積み重ねていってください。

楽しみながら勉強し、また生活の中や遊びに取り入れたりなさると、小学生の間にマスターされるのではないでしょうか。

2004年2月
特殊学級を担当していて、一番思ったのは、保護者の教師への期待がすごく大きいということです。
特殊学級を担当するのだから当然それなりの知識を持っていると勘違いされてしまいました。
ただ私の勤務校の教師間では特殊の教師はいわゆる左遷組であり、誰もやりたがりません。今年度現任校に赴任してきたばかりで、わけのわからないまま特殊を担当していました。
障害児の知識なんてまったくないのに、ダウンやLDや自閉の子供への教育的な成果を要求されたのには驚きました。
でも一般の学校の特殊は多かれ少なかれこれが現状かなとも思います。私としては特殊学級が託児所的になってしまうことだけは避けたかったですね。

最後になりますが、現役教師の情報交換や愚痴のこぼしあいの場としてこの掲示板が活用できればうれしいですね。



保護者が特殊学級にそれなりの期待をするのはもっともでしょう。
ただ、行政、ひいては学校がそれに応えられているのか?

>特殊の教師はいわゆる左遷組であり、誰もやりたがりません。今年度現任校に赴任してきたばかりで、わけのわからないまま特殊を担当していました。<
・・・では、専門的な力をつけずに来た教育行政の責任もありますね。

障害児教育もやり始めるととても魅力的です。私も以前は通常の中学校にいましたが・・・。
教員は生涯勉強です。もちろん他のしごともでしょうが・・・。
長期の休みなどに認定講習を受けるなどして専門的な勉強をしたり資格を得るのも大切です。

そして実践の場は自分の学びの場、子どもから学ぶという気持ちでやっていきたい。
保護者も実践をやるうちにそれを理解し、共に支援できるようになるといいですね。

そこには学校のトップの姿勢も大切です。
学校の管理職が、子どもの側にたった教師の実践を応援してくれる学校であればすばらしい教育ができるでしょうね。

この掲示板が愚痴をこぼし合いながら、勉強したり励ましたりできるきっかけになればうれしいです。
教員生活30数年、現在も担任をしながら子ども達から教えられている身ですので・・・。