Leeの特別支援教育
         今日の一冊

タイトル「今日の一冊」

教育、仕事関係

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バージニア・ウルフ
「甘えで文学を解く」平川すけ弘、鶴田欣也
「心が強くなる漱石の助言」長尾剛
東大で月尾教授に聞く!「IT革命のカラクリ」月尾嘉男・田原総一郎
「5歳児の大人」とそのまわりの人のための心理学」 加藤締三
「100万ヒット! ホームページを作った人々」金田善裕
「ネットパワー」
「インターネットビジネス会社情報」
これが「IT革命」だ! 竹内宏 「IT革命」研究会 
「五体不満足」乙武ひろただ 
「これからの時代は女性でわかる」佐藤綾子
「ここまで来たインターネット・ビジネス最前線」竹村健一
「インターネットはグローバルブレイン」立花隆 
結局どうすりゃ売れるんですか」 田原総一郎 
教師が書いたやさしいパソコン教育の本」苅り宿俊文、斉藤等 
「賢い女は男の味方」井上憲一 
「良い上司、悪い上司」江坂彰
天才ほどよく悩む」 木原武一 
超知的生活法」 野口悠紀雄 I  
「中坊公平の人間力」中坊公平、佐高信
「コンピュータ企業家」伊藤穣一
インターネット超活用法」野口悠紀雄
「主婦だってパソコンできる!」田澤由利
「能力主義はこわくない」今北純一
岩波講座8 現代の教育「情報とメディア」
「絵で見て分かる手づくりホームページ」 川村史記 
「癒しとルサンチマン」 梅原猛
バージニア・ウルフ
          
ところで図書館からバージニア・ウルフという女性作家の本を借りてきた。
 この人はちょうど100年前にイギリスで小説を書き始めました。夫も作家で二人で田舎の家に印刷機を入れ、印刷出版したそうです。
「自分だけの部屋」は女性と文学の問題を取り上げた評論だそうだが、その中で「女性が小説を書くためには、金と自分だけの部屋が必要だ」と言ったそうです。過去何世紀の間、女性は知的自由を奪われ、貧しい状態に置かれ、文学によって自らを表現する機会がなかった。ウルフは、だからこそ経済的・社会的な差別や抑圧を無くすべきだ、そうすれば、女性の資質が生かされた文体や文学が生まれると言ったのです。(概論から持ってきたので文がちょっと堅すぎますが・・・)

さて、ちょうど100年たった今、時代は大きく変わったのでしょうか、変わらなかったのでしょうか。
ウルフは自分で印刷機を入れたことで作品を自由に発表できました。これは裕福な階級だったからできたことでした。
現在、印刷機はなくてもコンピュータとインターネットがあれば、自分の文章を全世界に発表することができるようになったのです。
お金も余りいりません。
しかし、であれば、女性は良い文章を書けるのでしょうか。
この私でさえ書くのだから、大勢の人たちがホームページなどで発表できるでしょう。
その時に文学や文章がどうなっていくのでしょうか。

ところで、工学部の人たちに「今までの歴史の中で、情報関係の大きな革命的な出来事はなにか」と聞いたそうです。
皆さんはなんだと思いますか?やはりコンピュータやインターネットでしょうか?
いえ、工学部の人たちが言うには、「印刷術」の発明なのだそうです。
それまで手で書くしかなかったものが、印刷術により何百、何千、何万と印刷できるようになったのです。
人々は情報や文学をそれで伝え、学んだでしょう。みんな、情熱を持って本に接したことでしょう。

今、インターネットでいろんな情報を瞬時に伝え、読むことができるようになりました。しかし、あまりにお手軽すぎて、文章や情報のありがたみが感じられるかどうか、むつかしいこともあるかもしれません。
ウルフの小説を読んでそんなことを考えました。
「甘えで文学を解く」平川すけ弘、鶴田欣也 新曜社 1996 4635円

「甘え」というのは、特に日本人に顕著に見られる概念として土居健郎さんがとなえた。
『「甘え」の構造』など著書も多く私も読んで感心した。最近、土居さんが「いじめと妬み」という本をだされたので読みたかったが見つけられなかった。
本書は土居さんや「甘え」という概念に関心を持つ人たちが書いている。何人かの人の文章を読んで、理解したことを書く。
「甘え」は幼児期に特に母親との親密な関係、受容される関係に端を発する。
やがて、個人として自立することが求められ、甘えることは大っぴらにはできなくなる。しかし、幼児期に思う存分受容してもらっうことがその後の精神活動に大事になる。
外国では「甘え」はないのか?
平川によると、カトリック系の国では、聖母マリアを信じるなど「甘え」に似た感情を認める。
それに対し、アメリカなどプロテスタントの国は個人、自立を重んじ、「甘え」を認めない。しかし、競争社会でやぶれた者にはそれはつらいものがあり、麻薬などに「甘える」。また、軍隊、スポーツ、選挙などでは、集団への一体化など、「甘え」に似た行動がでてくる。
教育では、西洋やアメリカでは、鞭などできびしくやる。子供は家畜と同じで支配するものと考える。
それに対し、日本では「しつける」は田んぼの言葉に関わりがある。
最近の日本では、母親が十分に甘えさせない傾向が出てきて、そのために子供に「いじめ」「妬み」などがでてきたのではないか、と土居さんは言う。

先日の新聞に、最近子供の事件が多くなったが、西洋のように厳しくなくてはならない、という声があった。
問題を起こす日本の子供はどのように育てられたのであろうか。
幼児期にどのように育てられたら、落ち着いついた成長ができるのか、問題行動になるのか・・・。
そして、これからはいやでも女性も働く時代になり、その時の子育てはどうなるのか。

「甘え」は女性の行動とも深い関係あるわけで、日本は「女性文化」だと言われることもある。「父権」が薄いとも言われる。
いっぽうアメリカや西欧では「父権」「神」というものを大事にするとも言われた。
農耕を大事にした文化と、狩猟文化とでは大きく違うだろう。
これから、IT革命やグローバル化でいろんな文化や考えが出てくる。

教育に関わる者として、土居さんの「甘え」の概念は非常におもしろいし、それがそれからの世の中でどのようになるかも、興味のあるところだ。

話は変わるが、沖縄サミットでは沖縄の農耕文化、受容する文化のようなものを感じた。
アジアはその傾向は大きいだろう。
これからの世界では、だんだんアジアが大きな地位を占めるようになるから、「自立や競争」の社会と「甘えや受容」の社会がどのようなバランスになっていくか、興味があります。
「心が強くなる漱石の助言」長尾剛 1999 朝日ソノラマ 1600円 

昨日から読んでいる本がおもしろい。漱石といえば文学。だがこの本は、題名で分かるように、漱石の言葉から「人の生き方」を引き出す助言の書となっている。
前書きから
「漱石は小説家という紹介だけでは不十分である。小説執筆という仕事を超えて、人生の意味を考え、それを庶民に伝えてくれた。
新聞社の専属作家であった彼は、つねに庶民の側に立った。だからその言葉には、庶民の目の高さに合った思いやりが込められていた。・・・漱石の助言は現代の日本に生きる私たちに深く染みこむにちがいない」

簡単に項目を並べる。
一章 心のありようとは、二章 人間関係、三章 恋愛、夫婦、四章 社会、五章 仕事、六章 学問、芸術、七章 教育、八章 老い、死

第一章 自分を信じよ より
「今までは己の如何に偉大なるかを試す機会がなかった。己を信じたことが一度もなかった。朋友の同情とか目上のお情けとか、近所近辺の好意とかを頼りにして生活しようとのみ生活していた。これからはそんなものは決してあてにしない」
(書簡より)
解説「夏目家は没落の一途をたどっていて、漱石は就職活動に失敗している。母校の東京帝大でも地位は何時までも講師にすぐなかった教授会からも閉めだされていた。
かれは出世競争でもどんじりだった。
この書簡は京大に来ないかといわれ、断ったときのもの。漱石はこの時、作家として一人立ちする決意を固めていた。自分の「作家としての力量」ととことん試してみたい、と考え、それに賭けていた。
漱石には、やりたいことをやりたいように努力すればきっとなんとかなるはずだ、という「自分を信じる」強さがあった」

いい文章です。漱石さえ、どんじりだったのですね。
自分がやりたいことをするには自信がいる。周囲の人の思惑も気にかかる。
しかし、周囲でなく、自分の心を見つめたときに、自分がやりたいことは見えてくる。

他にも
・いくつになっても妻を「恋しい」と思いたい。
・権力をありがたがる人間は、権力者よりも問題がある。
・小さくて気づかないようなものにこそ、美しさがある。「菫ほどな 小さき人に 生まれたし」

など、これほど立派だった作家の、孤独な努力、周囲の人への愛、仕事や芸術にたいする考え、などを、分かりやすく解説してある。
これを読んむと、人が個人として社会で生きていく上での考え方、悩みの解決法を教えてもらえる。「漱石さえもか、漱石はこう考えたのか」と思われ、納得できる。漱石、いいですね〜。
東大で月尾教授に聞く!「IT革命のカラクリ」 2000年11月発行 月尾嘉男・田原総一郎 アスキー 1500円

「はじめに」より・・・「月尾嘉男さんはとにかく話がおもしろい。というより、危険なほどに過激だ。
東大教授という肩書きがなければ、彼の話はどんなテレビ、新聞、雑誌も載せないのではないか。
そう思うくらい危険な話が多い。」

序章 田原・月尾流「IT革命」入門
第1章 これがアメリカ「IT戦略」の真相だ!
第2章 戦略なき日本に未来はない!?
第3章 IT革命で社会はこう変わる。
第4章 都市と地方はこう変わる!
第5章 IT時代をこう生き抜け!
この本では月尾氏の話を「月尾語録」として囲みがあり、これがおもしろい。

第2章「戦略なき日本に未来はない!?」
月尾教授は、沖縄サミットの「IT憲章」で森総理が150億ドルを5年間にわたって発展途上国に援助すると発表したことにふれて・・・。
「日本はそのような援助ができるほど、ITに関して先進国ではないことを知るべきだと言ったのです。インターネット普及率は世界13位、・・・・・。400兆円近い借金を抱えながら、総額150億ドル、毎年3000億円を寄付するというのは、足元の認識から間違っている。
3000億円とは・・・
1000校プロジェクトというのを当時の文部省推進しようとした。小中学校1000校に5年間インターネット使い放題するというんもの。3000万円あれば1万校の学校でできる。」
第5章「IT時代をこう生き抜け」
月尾語録
「これからのエリート教育は、数学でも社会でも理科でも、違うことで能力を発揮する人をつくる教育だ。」

第4章 都市と地方はこう変わる!

「月尾語録」
「情報には「情」感情とか気持ちとか、フェイス・トゥ・フェイスのつきあいという部分が不可欠」
「都市に人が集まる理由は@規模の経済A情報の入手B無名の特権、この3つだ。」

「情報化→地方の時代にならなかった理由」とか自民党がなぜ人気が無くなったか、とか、今よく言われる「地方と東京の対立」のこともでてくる。
最近特に地方交付税のこととか、公共工事のこととかで、地方は話題にあがるが、IT化とどのように関わっていくかなど興味のある話がいっぱいです。

「5歳児の大人」とそのまわりの人のための心理学」 加藤締三  (2001,3,19)

「5歳児の大人」とは「自分一人が生きるのに精一杯なのに、社会的責任を負わされて生きるのが辛くてどうにもならなくなっている人たち」だそうだ。
ノイローゼの親に育てられたこどもは、心理的成長の機会を失う。そして大人になり仕事をしたり、結婚したり、こどもが出来たりしたときに、責任をとるのがつらい、毎日いらいらしている。人に優しくなれない。などなど・・・。
そういう人たちは幼児期に親に心から愛され、安定感を持てなかったのだと言う。だから、「母なるもの」を常軌を逸して希望する、のだそうだ。そして、こころの底に憎しみを持っていて、人を愛することができない。「どうして自分だけが・・・」と思っている。
そして、加藤氏は自分自身がそういう人であったといい、どのようにして自分を変えていったかを話す。「私の憎しみを取り去って下さい。」と天に祈ったそうだ。
具体的には恨みを消すために、「今日は人から何をしてもらったか」の日記をつけることをあげている。

私自身は幸せな幼児期を送ってきたと思っているから、このような苦しみや悩みは少ない。(他の悩みはあっても)
しかし、今の幼児虐待までいかなくても、親に愛されなかったと思う人は多いでしょう。そして、周囲と様々なトラブルを起こしたり、悩んだりするのでしょう。教育に携わる者としても、このような心理を知っておくことは大切でしょうね。

加藤氏は著書が多い。「手軽な悩み相談」本というところ。自身の体験を交えて書いてあるのだろうが、「どうしたら悩みから開放されるのか」を期待しすぎると、期待はずれかも知れない。本の1冊を読んで解決されるようなものではないでしょう。
幼児期はいかに大事か、というのは何となく分かりました。
「100万ヒット! ホームページを作った人々」金田善裕 2000年 アスキー出版局 1200円  (2001,1,20)

「100万ヒットを記録するホームページの作者って、いったいどんな人たちなんだろう。」という素朴な疑問を解明すべくホームページ作者たちにおこなったインタビューから・・・。
次のような人々

J.O.Y  斉藤正紀
Webやぎの目 林雄司
テレビドラマデータベース 古崎康成
ネットサーフレスキュー 「Web裏技」 谷中一朝
旅行リンクTravel Page 森田美紀子

まだ私がインターネットなどみたこともない初期の頃、ホームページを立ち上げ、独特のコンテンツでヒットした人たちです。
とくに『ネットサーフレスキュー 「Web裏技」 谷中一朝』など、カウンターや掲示板など、自分が欲しい物を作り上げ、人にもフリーで分け、今のような個人ホームページ作りに貢献した人の話など、すごいです。
インターネットの世界もだんだん企業のサイトが増え、専門家の手で立派なサイトを作っていますが、個人のサイトが果たす役割も大きいと思います。
しかし、個人で100万ヒットのサイトを管理するのも、喜びもあるけれど、苦労もあるようです。

私のサイトはマイナーなものですから、アクセスも年に1万いけばいい方ですが、すごいサイトの話は参考になります。 
「ネットパワー」ネットビジネスの行方 2000年 早川優 総合法令

情報革命といわれても、その歴史的な位置づけは分からなかったが、産業革命と対比して、今までの工業化から情報化になること、そしてその意味するところが分かった。
歴史的には、革命というと人が死んだり、町がこわれたりしたが、情報革命は目に見えない。
せいぜいバブルが終わったとか、リストラされている、というようなこと。
しかし、それは情報革命の自然な姿なのだという。
これからは、私たちがこの50年ほど、物の面で豊かになることを望んだように、これからはインターネットを使いこなすことが当たり前の世のなかになるのだ。
情報化の世の中では、今までのやり方や価値観が大きく変わる。
受け身で豊かさを享受できたのが、能動的にならざるを得なくなる。
例えば、企業の中でマネジメントできればよかったのが、それだけでは通じなくなる。
組織離れも起きる。組織を離れ、SOHOなどの働き方もできるようになる。


「インターネットビジネス会社情報」1999年 東洋経済新報社 1800円

「新しい日本を作るインターネット」「夢や志を実現する注目の人々」「ビットバレーの若者たち」などという宣伝文句。
「夢や志を実現する注目の人々」では、孫正義ソフトバンク社長、niftyの富士通取締役、などの対談。

私はこのような情報はテレビで知るだけなので、本にまとめてあるのを読み役に立った。

読めば読むほど、日本では、例えば学校でもコンピュータを子供の数だけ入れて、自由に使うようにしなければいけないと思う。
これが「IT革命」だ! 竹内宏 「IT革命」研究会 学生社 980円

 「IT革命」によって経済、社会、ライフスタイルがいかに変わるかを展望した。
「IT革命によって私たちの働き方や生活は一変するにちがいない。そのことをサラリーマンや経営者にも、また学生や家庭の主婦達にも広く知ってもらう本が必要だ」という出版社社長の考えで竹内さん達が書いた。
第5章 IT革命が開く未来のイメージ
「いちば」への回帰
インターネットの世界はよくいちば(市場)にたとえられる。映画「ローマの休日」でアン王女が市場を楽しく散歩したように、いちばは私たちの日常生活を象徴している。
いちばは「人々が暮らしていく上でお互いに支え合う枠組み」と言ったらよい。
みんなで分担して行った仕事を、いちばで交換し合う。
IT革命とは、複雑な分業の仕組みを一度こわして新しく作りなおプロセスです。
例えば教育でさえ、これからは学校でだけするものではなくなる、そうだ。
今までに言われていたことが多いけれど、わかりやすく書かれていて、整理しやすい。
「五体不満足」乙武ひろただ 講談社

今頃・・・なんです。図書館では人気がある本はなかなか借りられませんからね。
やはりよかったですね。特に私は障害児教育にたずさわっているから考えさせられるところが多かった。乙武さん自身、ご両親、まわりの人々もすばらしいが、乙武さんは小学校の時の担任の先生について、かなりふれている。障害がある人にどう配慮するか。させるところ、させないところ、悩みながらその先生のやり方で接する。もちろん音武君の気持ちを聞きながらも、時には強く指導する場面もある。
 運動場を車椅子から降りて(足はないが)歩かせた先生。そのことを後で感謝できる乙武さん。
また、彼のユーモアのセンスと、障害があるなんて忘れてしまっているような、明るくノー天気な(本人曰く)性格がいいですね。そして、羽目を外したことも、いわゆる問題児と言われる友達と親しくしたことなどを書いて、いわゆる良い子や優等生ではない面ものぞかせている。この元気と、いわゆる「ワル」とみられそうな行動は、「障害者とはこういうもの」という既成の障害者観をうちやぶっているような気がする。
彼は、今までの障害者像のようなものをぬりかえてしまいました。「障害者は救世主」と言っていますが、そのとうりでしょう。アメリカに旅行し、障害者がなんの特別の目を向けられなかったことを書いていますが、まだまだ日本では「人と違う存在」となったり、救世主になったりするのでしょう。
最近はテレビにも社会にも障害がある方を見かけることが多くなりました。この方が世の中に送ったメッセージは大きかったと思います。
「これからの時代は女性でわかる」佐藤綾子
この人はパフォーマンス学で知られている。
女性は会社や肩書きに縛られないぶん、パフォーマンス(自己表現、自己実現)ができやすい、と書いている。(超短くてごめん!)

「ここまで来たインターネット・ビジネス最前線」竹村健一 1997 クレスト選書 1545円 (6/26)

食わず嫌いでした。
この竹村健一さんって、何となく嫌いでした。テレビで田原さんの番組などでよく観ますが、パイプをくわえ、横着そうな態度のいやなおっさんという印象。(すんまへんな)

でも、この本を読んで目からうろこでした。
この人経済に関する発言が多かったようだが、元は英文学科卒。エール大学でも学び、ジャーナリスト生活。マくルーハン理論を日本に紹介した。
マクルーハンという人はカナダで生まれ、工学と文学を学んだ。アメリカで教鞭をとっているときにテレビが普及し、若者の行動が変化し始めたのをみて、メディア論に傾斜していった。
「クール」という言葉があるでしょう。「クールサイト」とか。これはこの人が生み出した言葉。電子メディアはクールで、活字メディアはホットと定義したんだそうだ。
その人が予言的に言ったことを見出しから。(マクルーハン自身はインターネット時代が来る前に亡くなったそうだ)
1 インターネットの予言者・マクルーハン
・すでに、第二産業革命は始まった。
2 インターネットビジネス最前線
・大メーカーに勝つための知恵とは
・情報と物流は不即不離
・斜陽産業にこそチャンスあり
・たった一人でも新聞が作れる時代
3電子メディア時代の成功の法則
・インターネットは地球を村落化する
・電子メディアは「触覚人間」を作る
5 インターネットが世界を変える
終章 思想革命が不可欠の時代

おもしろかったところ。
マクルーハンは活字人間を「線的」、電子メディア時代の人間を「点的」という。線的とは何事も手順を踏まなければ動かない。点的人間はおもしろそうと思ったら理屈はかんけいない。竹村はマルクーハンの言葉から「クールに」図々しく生きるように、他人の評価なんて関係なく生きることにしたそうだ。そしてこれからは点的人間が素っ頓狂なことを思いっきりして、時代のトップを走るんだそうだ。その最たる例がビル・ゲイツとしている。彼は服装などあまり頓着しないと書いている。IBMのような会社ではカジュアルなスタイルが公認だそうだ。
ベッコアメというプロバイダーを突然1日で考え、興した尾崎氏のこともある。

インターネット時代が第2産業革命ということがよく分かったし、私たちの(私の)生き方にも、このことは大きく入り込んでくるだろうと思う。
「インターネットはグローバルブレイン」立花隆 1997 講談社 1900円(2000/5/13)
田坂という人との対談「イントラネット革命の衝撃」というところに、おもしろい文章がある。
日本総合研究所という田坂さんの研究所では、2つの部40人がイントラネットを使うが、そこでは個人ホームページと電子メールを重視している。個人ホームページでは、プロジェクトの進捗や趣味の話、好きなプロ野球の話など、個人情報をのせている。「自由に」ということが大事。自己紹介などには全社からアクセスが集中する。ビジネスでティームを組む場合、このような個人情報が大事で、以前は飲んだりカラオケしたりで入手した個人情報が、これからは個人ホームページで、という時代になる。
イントラネットの活用については、ボトムアップの自発的な動きのほうが、多様性が出てくる。「草の根」のメディアとして育っていくがいい。
吉村伸との対談で・・・。
フィラデルフィア連邦地裁の言論の自由にふれた判決文「インターネットというのは歴史が生んだ最大の大衆参加雅型メディアだから、それに対する政府の干渉から最大限の保護が与えられるべきである。」
孫正義との対談で・・・。
孫「入院したときに考えたことは、自己満足のために俺は一生懸命やっているということ。自己満足って・・・自分の家族が、娘がニコッと喜んでくれるとか自分の会社の社員や、お客さんが感謝してくれたときに無上の喜びを感じる。これが突極の自己満足だと思う。」孫さんでも、最後は家族の笑顔と言うのがおもしろい。私であれば、生徒や家族の笑顔だろうか。

この本は1997年発行で、3年前の物。3年前と言えば、インターネットの世界はかなり変わっている。
しかし、立花さんの予測はかなり的を射ていて、インターネットは1番の情報通信手段になりつつある。
「結局どうすりゃ売れるんですか」 田原総一郎 ぶんか社 1600円

 ーヒットメーカーに聞く、成功の秘訣ー 
その顔ぶれをみてください。
日テレ・バラエティーの仕掛け人 土屋敏男
マルチ・ヒットメーカーに聞く    佐藤雅彦
「SMAP×SMAP」プロヂューサー 荒井昭博
「新世紀エバンゲリオン」監督   庵野秀明
日本テレビプロデューサー     五味一男
ソニー・ミュージィックエンタテインメント社長  丸山茂雄
吉本工業社長                   中邨秀雄
などなど、今をときめく人たち。もっとも、私は彼らの名前を聞いてもさっぱり分からない。テレビやゲームで有名なものを生み出した人たちだからすごいのだと分かるんだけど・・・。
あとがきより「銭を儲けたいといううらんかな姿勢だけでは、絶対に通用しない。・・・「やりたいことをやる」「信念」「自らの夢」「志」」。

いつもながら、教育の世界に置き換えても、大事なことだと思う。
教師も子どもに「ヒットする」という姿勢を持つことは大切だろうな。
なかなかヒットできない、今日この頃のわたしですが・・・。  

「教師が書いたやさしいパソコン教育の本」苅り宿俊文、斉藤等 ミオシン出版 1994(4/2)

 古くてすみません。近くの図書館には古い本しかない。もっともっと新しいのを入れて〜。
ぱらっと読みましたが、6年前にここに書かれたことは当時新しいことだったでしょうね。今それが現場でようやく取り入れられているというところかも。
 中に書かれていることで、ソフトを自分で作る先生がいて、それはそれでいいことだが、一般の先生はそこまで時間的にも、能力的にもできない。それなら一般のソフトを買ったり、フリーからもらえばいい、と書いてあるので少しほっとした。私はソフトを作るまではできませんので・・・。
子ども達に使わせたいいろんなソフトがあるのがいい。
「賢い女は男の味方」井上憲一 総合法令 1600円(4/2)

  「ビジネス時代のワーキング革命」というサブタイトル。現在、中間管理職をしていて、女性をどう使うか困っている人を対象とした本。
「人材育成で今一番必要なのは、部下としての管理でなく、パートナーとしてどう育てるかである。特にイキのいい女性ほど、上位下達式の管理にはなじまない。そのかわり、自分が一目置く上司や同僚には惜しみなく協力してくれる。それにはこちらがまず、彼女たちに一目置かれる男であることが必須条件だ。」とある。いい心がけですね。この本に書いてあるような管理職のいる職場であれば、私も、一生懸命働いてしまうかも。

「良い上司、悪い上司」江坂彰 1400円 PHP研究所

はっきりした題でしょう。「おっ、読んでみたい」と思う方も多いでしょう。皆さん、上司との人間関係には多いかれ少なかれ興味がある。
もっとも、この本は上司の善し悪しについて書いたものというより、サブタイトルー二十一世紀型リーダーの条件ーというように、これからのサラリーマンはどうあったらいいのかが書いてある。
私は教員も会社員とかなり似ていると思う。聖職者という面を強調する人もいるけれど、教師としてのマナーや子どものことを考える、ということは、自分の価値を高めようとする会社員も身につけなければいけないものだ。サービス業も、お客様のことを考えないと繁栄しないように、教師も子どものことを考えないなら立派な教育はできないし、繁栄しないだろう。
会社員は時代についていかなければいけないが、教育も同じ。
だから、教育関係の本もいいけれど、経済や会社員のハウツー物は、かなり参考になる。内容は目次から。
序  いま、「良い上司」とは何か
1章 さらば!会社人間たち
     4人に1人しか管理職になれない時代。
     目標達成能力から目標選択能力へ
     遊びを知らない団塊の世代   など
 目立って言及してあるのは、年功序列から、実力、能力主義に移行している今、団塊世代は一番割を食っている。しかし、今までのやり方では日本はやっていけない。割を食っているけど、団塊世代は今までのように、組織にぶら下がり、小異にこだわり、人間関係に振り回されるのでなく、また、「忙しごっこ」「忠誠心ごっこ」も卒業して、新しい時代のやり方を探した方がいい。

私は団塊世代より1才上。だが、団塊世代と考えていいだろう。本当に哀れな世代ですよ。馬車馬のように働いてきてやれこれからという時に、時代が変わったときた。若い世代からは「この世代がじゃまなのだ」という目で見られているみたい。
私は女だから、男性ほどではないけど。
でも、どの世代も、生まれてから死ぬまで恵まれている世代はいないでしょう。団塊世代は戦争も、不況も今まで体験していない。上り調子のいい人生でした。今、はたと「人生どう生きるべきか」と考えるのもいいでしょうね。
「天才ほどよく悩む」 木原武一 1995 1500円 ネスコ/文芸春秋

 ドイツ文学専攻の著者は、悩みということに興味があったそうだ。主に4名の天才の悩み多き人生について述べられている。
 夏目漱石はあばた顔が悩みだったそうだ。日記には「今日はどこそこであばた顔に何人会った。」と詳しく書いてあるそう。また、生涯神経衰弱に悩まされていた。「坊ちゃん」「道草」「明暗」などにも、神経衰弱や悩みが反映している。夫人とは、悩みについてコミュニケーションがとれなかったようだ。
 漱石ほどの人物なら、顔のことぐらいで悩まないだろうと思うが、これほどまでに悩んでいたというというのだ。これが漱石がいつまでも人気のあるゆえんかも知れない。
 ベートーベンは聴覚の衰えに悩んだ。自分が音楽家でありながら聞こえないこと、それを人に秘密にしなければならないことで、悩みはいっそうつのる。悩みというのは秘密にすると一層膨らむそうだ。それを人に話して自分でも認めると、乗り越えられるそうだ。また、幼いときの家族関係から、女性関係や養子にした男の子との関係にも悩んだ。
 次のショーペンハウワーやキルケゴールは、まさに悩むことで哲学者となった感じ。
 哲学というのは、悩みを自身の中でどう処理するかという学問らしい。
 どの「天才」も、家族に悩み、地位や金、名誉に悩み、性に悩み、女性に悩み、禁煙できない弱さに悩み(フロイド)と、びっくりするほど弱く人間的。いや、弱さを自覚し、それにまっすぐぶつかっていったからこそ、哲学、心理学、文学、音楽などを極めたのだろうか。

 最後にこう述べてある。「苦悩の引き受け方が、つまりはその人の生き方なのである。・・・悩みはけっしてなくならない。せめて私たちにできることは、悩みやすい自分自身に、心配性の自分自身に慣れることである。悩みや心配事は、いわば、長い人生の不治の病なのである。」

 私もけっこう悩みが多いから、このようにHPで自己表現してすっきりしようとするのだろう。一方、猫と散歩する脳天気さからすると、ここに挙げられた人たちとは異なり、たいした仕事はできないということでもあろう。
この本は、くよくよ悩んでいたのが、ほっと安心できるようになる本です。

「超知的生活法」 野口悠紀雄 1997 ASCII  

「超」整理法では紙の整理に、封筒に入れて、時間順に並べ、使うものと使わないものを分けていくという、具体的な方法が述べられた。この本では「超」整理手帳というのが提案されていて、アスキー社や他の会社で販売されているそうだ。形はA4班をじゃばら折りにしたもの。いっぺんに3週間の予定が見える。ふーん、よさそう。
でもね、私の場合これを使いこなせるのか。
現在の私の整理の悩みは・・・。教官室(職員室)におく書類と、教室におく書類をどう区別する?だって、教官室には1日に5分といない。膨大な書類をどう整理する。書類ばかり増え、ファイルに分ける余裕もない。その日暮らしの生活。えーと、明日の予定は?とかばんから書類を探し出す始末・・・。
さて、この手帳を使ったら頭すっきり、3週間の予定がばっちり、といくかな?
一番良い解決は、余分な情報は気にしない、これがいいような気がする。仕事や「特殊技能」に振り回されない。現在の「私の分野はきちんとします」でいくしかなさそう。
ところで、この本に写真があって、野口さんが上の日下さんの「ソフト化経済センター」からもらわれた表彰状の写真でした。
「中坊公平の人間力」1998 中坊公平、佐高信 徳間書店 1300円

中坊さんと言えば、平成8年に(株)住宅金融債権管理機構社長になった方です。住専問題で国民が怒った時、「金融界や大蔵省の不始末をなんの罪もない国民が負担せなあかんねん」と体を張った「おっさん」ですね。なんか親しみを感じる方で、多くの人が応援したい気持ちになった。
この本は、ズバリとものを言ってくれる「辛口の評論家」、佐高信さんとの対談の形です。
おもしろいのは、お二人とも、遅くまで寝小便を「たれて」いたんだそうで、特に中坊さんは、体が弱く、落ちこぼれだったそう。
しかしだからこそ、強者には見えないものを見てきた(佐高談)。
中坊さんのやり方も、「現場の中に宇宙のすべてが込められている。」という「現場主義」、「神は細部に宿るりたまう」という、各論、具体に強い人だそうだ。目次から印象的なものを挙げる。
「弱き者の目線」になれば見えるものが違ってくる。
弱い者同士が「弱さ」を共有したときに強くなれる。
「飯が食える」だけで満足していた自分を変えた「森永砒素ミルク事件」
「無理が通れば道理引っ込む」は許さない。
「国民を無理やり連帯保証人」
悪の後ろに善の顔をした巨悪がある。
現場を知らないリーダーが組織を危うくする。
「国民にわかりやすく」が国民主義の第一歩
など・・・。
今、石原知事が銀行から税をとると言い、多くの人が応援している。銀行には多くの人が不満を持っているが、この住専問題の頃の金融政策のあり方に、端を発しているのだろう。
「コンピュータ企業家」  伊藤穣一    実業之日本社  

著者はとてもユニークな経歴のひと。
3才で、渡米。アメリカンスクール、米国の大学中退。日本で、電子会議ソフトの会社などをつぎつぎに起こす。
コンピュータが今のように発展してきた真っ最中のアメリカで子供時代を過ごし、コンピュータと一緒に遊んできた、コンピュータの申し子のような人。
おもしろいのは、今や、コンピュータが全世界を席巻しそうな状況だが、このように述べる。
「僕たちがもっと考えていかなければいけないことは、システム全体やネットワーク全体といった大きなものではなく、むしろ逆にその中にある小さなディテールです。「ディテールに神は宿る」と言うように、・・・インターネットを支えていくのはひとりひとりのコンテンツなのです。」
彼の師が言った言葉、「権威を疑い、個人に力を与え、そして自分で考えること」。「この言葉こそ,来るべきインターネット時代の大波にうまく乗っていくための重要なコンセプトだと思います。」
これは教育、特に障害児教育にも通じることですね。
著者の人柄もですが、とてもおもしろく刺激的な本です。

「インターネット超活用法」 野口悠紀雄  講談
超整理法などで有名な著者のこれもよく読まれた本。著者もここ数年のインターネットの充実に驚き、仕事に取り入れた。
個人のホームページについて、マスコミとの違いは「ホームページは制限なしに発言できる」ことだという。
マスコミによると、マスコミサイドからの発言になるが、ホームページがあると、個人が制限なしに発言できるという。
数年前まで、個人が社会に向かって発言できる手段はなかった。インターネットは、どんな人でも自分の意見を全世界に向けて発することができる、画期的なメディアである、と言う。
うれしいのは、付録にある、「野口悠紀雄Online・インターネット情報源」。世界のホームページの中からいいもの、役に立つものを、星の数で格付けしてある。著者のHPにアクセスするとすべてのサイトにアクセスできるそうだ。便利ですね。
「主婦だってパソコンできる!」  田澤由利   朝日出版社
主婦が家庭でコンピュータをどのように活用できるかが、実践を元に書いてある。女性ならではの視点から、ホームページ作りはもちろんだが、生活に密着したアイディアがいっぱい。私にも参考になったのは・・・
アイロンでコピーでき、Tシャツなどに印刷。うちの学校でやってたけど、これなのね。何かいかせそう・・・。
お手紙、ホビー関連グッズ・・・さて、年賀状の季節。
インターネットの繁栄には主婦や女性の参加が欠かせない。入門書になる。
「能力主義はこわくない」今北純一  日本経済新聞社
サブタイトル「減点へのおびえから得点への意欲へ」

著者は東大工学部を出た後、旭硝子入社、英オックスフォード大教官、その後、いろんな研究所、企業にスカウトされ、現在パリ在住。
あとがきより
「なぜ今能力主義なのか。バブル期の集団ヒステリー的な自信過剰から、その後の集団ヒステリー的な自信喪失、というのは異常である。横並び的な発想だからこうなる。
これまでの「組織の前に個人なし」から「個人なくして組織なし」へ発想を転換しなければ・・・。
そのためには、人のまねをせず、自分のことは自分で考え、決断し。行動すること」としている。
ただ、日本には、日本独自の能力主義が大切という。

6章 これからの「日本製」能力主義では
経営責任と成功報酬・・・
トップへの経営能力が成功への大前提・・・経営トップの経営責任と成功報酬を明確にすることから始めなければ・・・。
減点主義から得点主義へ・・・無から有を生ずるような実績を残す積極性のある人間を登用すること。
「創造された価値を」を指標に・・・生み出す価値をどれだけ説得力のある形で数量化し、内外にコミュニケーションしていくか。
人間的な総合評価も・・・個人の無形資産を総合的に評価する。
このような上で、能力主義を上手に使うことが大切という。

さて、この著書は基本的に企業向けである。では、教育界に向けてへどう読めるか。
やがて、教育界にも実力主義、能力主義の考えが導入されるだろう。実際、教師を評価することが言われている。
教育も、「親方日の丸」の考え、年功序列の横並び、だけではいかなくなっているようだ。
かといって、だれがどのように評価するかが問題になる。

特に、教育現場では、若い人と年輩、男と女などの間に、かくされた思い確執がある。
特に男と女では、男女平等の職場として女も男と同じ給料。私もそれが魅力でした。
しかしこれは建前であり、男にとっては不満の種にもなる。
男が遅くまで働き、女は子育てがある場合早く帰らざるをいないため、学校におらず、「仕事量が違うではないか」と言うことになる。(わたしは家でもしていてもね・・・) これが昇進への評価に結びつきにくい。男は「女はなにもせんで同じ給料をもらう」とかくれた不満を持っている。
しかし、特に教育現場では女の先生はなくてはならない。そして教育では、効率いっぺんの考えだけではすまないところがある。
しかし、能力主義の考えも導入していかなければならない。今後、教育界での導入の仕方は総合的に考えることが大事と思う。

世界で活躍する著者が、失敗談や成功談を交えて書いた本書は、参考になるし、今読む本でおすすめです。




岩波講座8 現代の教育「情報とメディア」 岩波書店

図書館はありがたい。2800円の本が借りられる。

今の教育に情報とメディアの問題は避けて通れない。しかし、この問題は、楽観的な「予言者」からは「これこそ世の中を変える、革新的な技術だ」とされ、一方、変な日本語をしゃべる若者が使いこなす「不可解なもの」とも考えられ、敬遠される。
ここでは、テクノロジーに踊らされたり、苦手意識を持ったりすることなく、教育的な論議を進めようと企画された。
じっくりは読んでおらず、つまみぐいである。
おもしろかったところは、
4章「情報教育の課題と展望」
 2)コンピュータ教材と子供の学び
 3)コンピュータ・ネットワークの学習環境としての可能性。
 4)インターネットと国際交流教育
5章 コンピュータ・リテラシーの教育
その中の、ホームページ作りについて、インターネットは広い外に向けたものでもあるが、ホームページつくりでは、自分という内へ向かうものでもある。グローバル化とパーソナル化という両面が大事だ。そして、いろんな実践例がのっている。
実践の中では、最終的には、「人間模様のどろくささ」が大切だそうだ。また、電子メール、携帯電話などを使ったり、最後には実際に会う、といったことでリアルに感じられると言う。
5章の中で、学校の中での、コンピュータ使用について、研修や、先生のしんどさ、サポートシステムについて。
大学では、理論は教えられるが、ワープロソフトやアプリケーションなどの商品ソフトについては教えられないので、学生が興味を持ちにくいところがあるそうだ。わたしも、ホームページビルダーで作るからできるけど、HTMLの言語で書けと言われたらできっこない。
英語についても、完全な英語で書かなきゃと思ったら、英語のインターネットはできにくい。気楽に片言英語で、の気持ちが大事と書いてある。また、国際教育などで、話したいことがあるかというのが問題だそうだ。コンテンツ、自分があるかどうかですね。

いま、わたしの実践の紀要を書いていますが、ようわからんけど、参考になりました。
「絵で見て分かる手づくりホームページ」 川村史記 池田書店

今まではパソコンやインターネットを技術面だけからさわいでいて、コンテンツ(中味)はあまりない状態だった。でも、特に中高年は人生経験からコンテンツはあるわけだし、HPなんかで発信したらマルチメディア時代の底上げになる。コンテンツを作るということは、個々人の「生活意識の反映」なんだそうだ。
その通りです。わたしもいろんなインターネット見て、とてもおしゃれなページや最新の技術を使ったページを見て、へーえ、とは思うけどそれだけ。やはり、生活から出てきたものや、似た立場の人の声に共感を覚える。そういう共感を覚え、コミュニケートしたいと思わせるなにかが必要です。こういうことって女の人は得意でしょう。だから大いにやっていきましょう。


「癒しとルサンチマン」 梅原猛 文芸春秋社 (10月27日)

10.26日に文化勲章を受けられた梅原さんの本。
私はこの本の題に惹かれて借りた。
ルサンチマンというのは、ニーチェの言葉で積もり積もった嫉妬の感情だそうだ。以前、ラジオでこの言葉を聞いたとき、なるほどと思った。私は嫉妬というのはいやなものだ、自分がこういうものにとらわれたくないと思うが、ニーチェによれば、人間の行動の動機の根底はルサンチマンだというのだ。
民族の問題から、宗教、キリスト教も、力の弱い人間が、世界を支配するための産物なのだという。人間、誰しも弱く、強いもの、うまくいっているものをうらみ、何か頼るもの、自分なりの納得できる価値観を生みだす必要があるんだそうだ。
私も、仕事の上で、なぜか分からない敵意や疎外感を感じることがあるが、このルサンチマンというものを理解しておかないと、うまくいかないのだろう。私は非常に脳天気だから。
また、わたしのルサンチマンは、男、女についてはかなり恨みが強いようだ。女の力が公的に非常に弱い日本だからだろう。(あんまり怒らせると、こわいよ・・・。)
この本には、他にも「毛沢東と超人思想」「リーダーの条件・再考」「オウム事件考」「哲学のゆくえ」「野茂とイチロー」など・・・、哲学を身近なことに光を当ててわかりやすく書いてある。
27日付けの朝日新聞にも書いてあったが、こころが落ち着く本です。

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