Leeの特別支援教育
目次へ

  サトくん       

その12

作・高田あや   編集・Lee

サト君の進路先が決定!そして卒業の日を迎えました。これからサト君の社会人としての一歩が始まります。

おもな登場人物

主人公・次男のサトくん  長男のまこっちくん ママ    パパ(せんべいさん) 
   
 
 進路決定!
サトが作った魚の絵皿。縁が大きく欠けています。サトに言うとそう残念でもない様子で「壊れた〜!」と。でも、その瞬間は回りが大変だったでしょうね。どうなだめたんでしょう?
でも、見方を変えるとまるで魚(歯がたくさんで鮫みたい)が食べてしまったようにも・・なかなかユニークではありますよ。汁気のあるものを盛り付けるのは無理のようですけどねぇ・・

 ワークホーム緑友に決まりました。
 今日は午前中、どうしても出かけなくてはいけなかったので、用事の後、福祉事務所に直行しました。たぶんもう電話で連絡があっただろうと思って。

 行くとすぐに笑顔で迎えてくれたワーカーさん。
 入所決定しました。
 提出書類を送ろうと準備していたところで、直にいただきました。嬉しいな!狭き門でしたもんね。
 そのあとすぐに学校にも連絡を入れ、サトにずいぶんお預けになっていたおやつ(ドーナツ)を買って帰りました。

 学校から戻ったサト、先生から聞いていたようで、第一声が「小豆水煮〜〜!」でした。
 説明しますね。 
 前から台所に小豆の水煮缶があるんです。気にするので、サトが緑友に決まったらお赤飯にするからね、と約束していたんです。
 そう、今日はお祝いの赤飯を炊きます。祝い魚はさんまなんだけどね。

 せんべえさんに電話したし、私の実家にも電話した。あと、叔母にも電話しておこう。そして、日記に書いてと。
うちにも春がやってきました。

  健康診断
 
晩御飯、今日は牡蠣とホタテのフライです。豆ご飯用にうすい豆を剥いてもらいました。
 進路が決まって、入所手続きの一環で健康診断をしてきました。
 保健所に予約してあって、同級生3人親子で出陣しました。
 大げさかとお思いでしょうが、私たちにとっては戦に行くようなものなんですよね。
 サトはまぁ指示が良く入る方。でも、難関が・・・採血があるんですよ。サト、予防注射も含めてここ何年も注射はしてません。時々大きな声で「注射!」と確認してきます。
 この時期、同じような人が来るので、職員さんは手馴れたものです。「できなければしなくていいから」と言ってくださいました。

 検尿もね、大きな青年(サトは小柄だけど)が、お母さんが手を貸さないとコップに尿が取れないんですよ。普段は自分でやってるけど、こういう特別な所作ってわからないのね、で、少し手を添えたり・・ああ、保健所だから助かります。

 さて、最後の採血。親の私がおっかなびっくりで処置室に入ります。サトは・・・なんと!!平然と腕をまくり、採血されてるじゃないですか。痛がりもしない。
 実は待ってる間、受付の小窓から中を観察してたんですよ。それで安心したかな?

 とってもスムーズにできました。看護士さんが上手だったのもありますけど、平然としたサトに感心しちゃって・・内心、ワァワァ言って恐がって暴れて、パニクったらどうしようかと私が緊張してたんです。
 サト、頑張った!よくやった!

 他の二人はどうだったかなぁ?私の方がこの後も用事があって、先に帰ってしまったので、ちょっと心配。うちと違って二人ともお母さんよりずいぶん体格がいいんです。
 何かあっても私じゃ役に立たないかもしれないけど、と思いながらも、無事に済んでてほしいな。
あのポスター原画の表彰をしてもらったそうです。
賞状と、なんと、サトの絵を入れたフォトスタンドをいただいて来ました。
原画は保管されるそうで、戻ってこないようです。パネルを玄関に貼るのは無理ですね。でも、立派なスタンドはリビングに飾る事にしました。

 昨日の晩、検便もしました。サトに「ウンチの時、教えてね!」と口を酸っぱくして言ったので、教えてはくれました。
 でもね、便器の水溜りの中に沈んでからなのだわ。もう少し出るというので、牛乳パックを開いたものを受け皿代わりに前に座って待ちました。
 すごい、妙な図!!しょうがないですよ。
 ・・でも、出なかったわ。サトだってやりにくいわね。仕方がないので、お尻にくっついてたのを掻きとって、終了。
昔はマッチ箱に親指大だったけど、今は耳掻きに一すくいあればよいようです。・・良かった!

 朝、また「ウンチ!」と叫んでいました。もう教えなくっていいって!

 卒業式

 サトの卒業式、先生も親も・・本人も、ほとんど涙なしでした。
 卒業が悲しいという感情、サトにはないものですね。
 あ、1人大泣きの人がいました。うちのクラスの委員長(就職します)。社会に出て、立派にやってほしいと思います。

 先生方も、喜びの気持ちいっぱいで卒業式を一緒に過ごしていただいたのだと思います。私にはその方が嬉しくって・・涙涙は苦手なんです。

 式の始まる前、教室からの移動の時に、エアコンを消してはいけないという事で、先生は内心気が気ではなかったようです。いつもする事ができない、こだわりを止められるという事で、機嫌が悪くなります。
 でも、それは杞憂に終わりました。サトは立派に式を終えました。

 卒業式の様子はスライドショーで見ていただくことにして。
 この式の後、サトはお昼を外で食べたくて、そればかり気にしていました。
 また、あのマクドナルドへ、とも思ったけれど、荷物もあるし買い物もしたかったので、ウェンディーズで食べました。満足、大満足!

 サトは今日も春休みのつもりで、やり残した算数プリントをやっています。

 入所式  

 4月1日、ワークホーム緑友の入所式に行きました。
今日の帰り、ばったり会ったサトの雄姿です。
学校の時とあまり変わらないかしら?

 7時半に家を出て、予定通り9時前に着きましたが・・・待てど暮らせど式が始まらない。
 私ともう一組の方は「9時集合」と聞いていました。あと2組いらっしゃって、その方たちは「9時半」、あとから来られたデイサービス利用の方も9時半ですって。
 玄関で待っていたら、寒くて寒くて・・ちょっと辛かったけど、サトは辛抱できました。

 さて、空きが3という事で、新卒者のうち1人はデイサービスにまわらねばならないか?ということを聞いていたのですが、結局もう1人空きが出たそうで、新卒フレッシュマンはめでたく全員入所できました。
 デイサービスの新人が2人、新入所が4人という少人数の入所式、園生全員の始業式と兼ねて行われたので、ちょっと緊張しました。
 写真は撮りませんでした。やっぱり最前列で主役として座っていてカメラを構えるのは憚れると思って・・正解でした。

 サトは立派な態度で挨拶もできました。卒業式の経験が生きているんですね。名前を呼ばれると、ゆっくり深々と礼をして、名前を言って「よろしくお願いします」と自分から言いました。
何だか嬉しかった・・

 来賓として、養護学校のN先生が来てくださっていました。思いがけない事で、嬉しかったです。
あらためて良い学校に通えて良かったと思いました。

 式の後、今年度から新しく始まった支援費制度に則って、ここへの通所の契約をするということで、契約内容の説明がありました。
 本人と、代理人(親)が合意の上で契約を交わします。
 個々の細かい支援内容はこれから様子を見ながら決めていくそうです。

 説明が終わって、サトたちは園生に合流、給食を食べて帰るという事でした。私たち親はそれまですることがありません。
 他のお母さん方は近くで時間をつぶして迎えに来るとの事でしたが、私は用事があり、サトを1人で返す事にしました。

 支援員さんがバス停まで送ってくださいます。こういうのは得意なサトの事だから、私に不安はありません。思ったとおり、ちゃんと帰ってきました。

 そうそう、私は忘れてしまっていて申し訳なかったのだけど、サトが幼稚園時代通っていた情緒障害児学級で、同期だった人が一緒でした。お子さんの方を見てもさっぱりわからない!成長するもんですね。お母さんは名乗っていただいたら思い出しました。
 サトもほかの方から見るとそうなんでしょうね。確かに顔は立派におっさんになってきてるもの。

 今日、2日もきちんと自分で起き、仕度は少し迷ったけれど、決まった時間に出て行きました。
 服装を迷うようですね。今までのように制服でないので、どの服を着たら良いのかがわかりません。
 当分、私が用意してやる事になります。入所式用に買ったジャケットが制服代わりなのか、それを着ていくと主張するので、ジャンパーはやめにして、ジャケットを着せました。明日はどうするかなぁ?

(2003年02月28日〜4月02日)



Leeの特別支援教育      目次へ